魔除け

19時オープンで週一くらいで通うバーでの話。

19時ちょうどに店についた。階下に看板が出ていたが電気が

ついていない。2階に上がったが、店内は電気がついていて、

ロールカーテンが下ろされていた。諸事情で開店準備中

と思い、別の店で飲んで、再び19時半ごろ行くと開いていた。

バーテンと話をしていたら、「ひょっとして19時過ぎころ

来られました？」聞くので「うん」と言ったら「そういう時は

ノックしてもらったら開けますよ」という。さらに「ちょっと

魔除けの意味もあって開店すぐには開けないんです」と言い

出したので「はあ」と生返事を返した。

さらにバーテンは「来たときにノブをがちゃがちゃしました？」

と聞くので「いや、そんなことはしてないよ。だってロールカーテン

閉まってるし」というと「あーじゃあ魔除けが効いたんだ」

と安心した表情をした。全く状況が理解できないので、

「どういうこと？」と聞くと、どうも魔除けは特定のお客さんらしい。

特に何も悪いわけではないが、話をしていると心を削られるという。

ヤクザ者？と聞いたが、「そうではない。とにかく生理的に合わない。

その人はいつも早がけにくるので、2人きりで1時間とかになることもあって、

そうなると凄くしんどくて、耳が聞こえなくなったり、頭がぼーとして後の

営業に支障が出る」とのこと。

「出禁にすりゃいいじゃん」と言うと「それなら楽なんだけど、そんな迷惑を

掛けることはしない。僕がどうしても生理的にあわないだけ。ほんと、

接客業でこういうのはイケナイと分かっているんだけど。。」と言う。

だから、早がけの時間は様子見がてら、開けるのを遅くしているとのこと。

そういえば、別の店（6人で満席の店）でいつもの如く店に入ると、

いつもはしょーもない駄洒落をいう大将が、ほっと安心した顔を

してこちらを見てきたことがあった。

いつもの調子と違うので、どうしたんやろか？と思ったら、横で

僕と同じくらいの年齢の男が、高校野球を見ながら、監督やら選手の

悪口ばかりを偉そうな口調で延々と話していた。

聞いていて楽しいものじゃないし、お前の野球理論なんて知らんし、

気持ち悪い奴と思い、さっさと店を出た。

バーテンにその話をすると「あーその状況わかる。会社の愚痴なら

全然良いけど、それって単に悪口ですからね。。。」という。

バーテンと合わないお客さんがどういう人はかわからないが、

僕は嫌なら2度と行かないし、不快ならすぐに席を立てば良いが、

お店の人にそんな気苦労があるとは知らなかった。